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カキ氷

山ほどカキ氷を作って、
シロップも何もかけずただ貪った。

頭が途中でキーンっとして、
何もかも思考が破棄できそうな予感がした。

冷たいもの食べまくって気絶しそうになった時に、
悩みの種が声をかけた。

「甘いものばかり食べていてはダメですよ?」

キンキンに冷たくなったスプーンを口からはずそうとするが、
ベロに引っ付いて取れない。

しかたがないので女の方をぼんやりと眺めた。

「うるへー、ひゃとうもひゃんもひゃひゃってねぇよ」

もはや、自分でも何を言ってるかわからない。
女はクスリと笑うと、新しく皿を出し、
まだ大量に残ってる氷の削った奴を乗せた。

「私も、いただきますね」

凄く色っぽい。
顔というより、しぐさの問題だが、色っぽい。

女は砂糖を少しかけると、
それまた小さな自分の口に合うスプーンを用意し
少しずつ口に運んだ。

スプーンが小さすぎて、口に運ぶまでに殆どとけてしまう。

「美味しいですね」

さっきから俺は何もしゃべっていない。
舌が痛いのもあるし、何しゃべっていいかもわからない。

嫌いだ。こんな女。

「熱でもあるんですか?」

女が、俺の額に手を当てる。

「ちべたい…」

熱は平常どおりの熱だが、
女の手にはさっきまでカキ氷が握られていた。

「やっと、しゃべってくれましたね」

女は嬉しそうに笑った。

あんたが一方的に俺を好きでも、お前の事を俺は嫌いだ。
そう言うつもりだったのに、言葉が途切れた。

許婚というものは、どうにも面倒だ。
嫁は嫁ぐもので、夫の道具。

そんなのは嫌だけれども、時代が時代だ。

時間がたち過ぎてとけたり、固まったりした氷を口に運ぶ。
いくら物理的に体をさました所で、
冷静な考えなんて出来やしない。

結局、自分の心を失っているのに過ぎないのだろう。

この世界でまともという言葉は存在しない。
まともがまず何かなんてわかりやしない。

いくら冷静になろうとも、答えの無いものは、
作るしか答えが出ないのだから。

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