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絶望の人

「珍しいですね、姉さまがそんなに弱気だなんて」

由梨はさらわれる数日前に、弱気な言葉を残した。
その言葉は覚えていないが、いつも強気な由梨なだけに白は不安がった。

「杞憂ですよ。きっと、お疲れなんです」

白はそういって由梨を慰めた。
由梨がここまで怖がるのを始めてみた気がする。

杞憂___この言葉は白が自分に言い聞かせて来た言葉と言えなくもない。

戦況は悪化し、両軍ともに資源は尽き果てて、
神は雨を降らせなくなった。

「こりゃ、本当に死ぬかもな」

朱雀は窓の外の干からびた大地を見て答えた。
もうこの大地には何もかも実らない。

「戦争をやめれば、黒猫は食われる。
戦争をやめなければ黒猫も白犬も壊れる」

由梨はそういい残し、部屋を去った。

その三日後、由梨はいなくなった。

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